患者様の中には、歯ぐきが下がり「歯の根元が見える」、「歯が長く見える」、という症状が見受けられるケースがあります。
歯ぐきが下がると、本来は歯ぐきで隠れていた歯の根元(根面)が露出してしまいます。露出した根面は冷たいものがしみる「知覚過敏」や、むし歯になりやすくなる「根面う蝕」という問題が生じます。
一度下がってしまった歯ぐきは、基本的には戻りませんが、歯ぐきとあごの骨の状態によっては「根面被覆」という外科治療方法で、歯ぐきを元の状態に近づけることができます。
根面被覆 before
根面被覆 after
根面被覆とは「歯ぐきの組織を移植して歯の根面を覆う」治療方法です。露出した根面を覆うために、いくつかの方法がありますが、当院では世界的に標準になっている結合組織移植をマイクロスコープ使って基本的に行っております。
マイクロスコープを使うことにより、歯ぐきの切開を最小限にすることが出来、術後の痛みや腫れを最小にできます。手術に使用するメスも通常のメスよりもずっと小さくなります。縫合する糸も非常に細く、血管をつなぐ時に使用される糸と同等のものを使用します。
1番上が一般的なメス、2、3番目が根面被覆で使用するマイクロ用メス
根面被覆とは、見た目の改善だけではありません。
歯ぐきが下がって根面部分が露出しているということは、歯を支える組織が少なくなっているということです。その部分を移植した歯ぐきで覆って厚くし、歯ぐきの抵抗性を高めることにより、歯を将来的に維持していく大切な治療です。
根面を覆うことで、根面の象牙質の露出が減ることにより、知覚過敏が抑えられ、さらに根面のむし歯予防にも役立ちます。露出した根面はエナメル質より酸に弱く溶けやすいですが、根面被覆によって、その影響を軽減することになります。